先進事例紹介
CASE.04
SHIBUYA×HONOLULU WAVE RIDE
スケートボードが滑走すると、足元に波が広がり、ヤシの木や太陽、サーフボードが次々と現れる──。東京の新しいスケートボードの聖地・「代々木公園(BE STAGE)屋外アーバンスポーツパーク」を舞台に、渋谷とホノルルのボードカルチャーを繋ぐプロジェクションマッピングイベント『SHIBUYA×HONOLULU WAVE RIDE』が10月27日から11月3日の8日間に渡って開催され、ハワイのアーティストによるグラフィックと、スケーターの動きが融合したプロジェクションマッピング企画が行われました。 この企画を実施した「SHIBUYA×HONOLULU WAVE RIDE」の関係者に、プロジェクトの背景や制作の工夫、そして今後の展望について語ってもらいました。
実施団体:東急不動産株式会社
エリア:東京都渋谷区 代々木公園(BE STAGE)屋外アーバンスポーツパーク
実施時期:2025年10月

ボードカルチャーで繋ぐ、渋谷とホノルルの文化交流
代々木公園BE STAGEは、渋谷と原宿の中間に位置するアーバンスポーツの拠点として2025年6月に全面開業したばかりの新しい施設です。
もともと渋谷エリアでは、路上でスケートボードを楽しむ若者が多く見られましたが、スポーツとしてスケートボードが楽しめる正式な場所を設けて、施設の認知度を上げていくことが、街のイメージアップや活性化につながるという思いがありました。しかし同時に、駅から少し離れた立地においてどのように来園者を増やしていくか、という課題もありました。そこでナイトタイムを活用したPRを企画し、プロジェクションマッピングを実施するにあたり、確かな実績をお持ちの株式会社ネイキッドさんの力をお借りすることとなりました。
代々木公園BE STAGEにはハワイアンレストラン、アーバンスポーツ等に活用されるスタジオ、スケートボード教室などがテナントとして入居。ハワイ×アーバンスポーツという親和性の高い要素が重なり、本プロジェクトの土台が形成されていきました。
ハワイはサーフィン、渋谷はスケートボード。姉妹都市である2つの街をボードカルチャーで繋げたい。渋谷の中で”波”を起こして、スケーターたちがハワイの波に乗るような体験ができたら素敵だよね、という情緒的な側面からプロジェクションマッピングのコンテンツを構成していきました。
数年前から高まっていた姉妹都市間の文化交流の機運と施設側の集客ニーズ、そして開催の大きな支えとなるプロジェクションマッピング促進支援事業の助成金という要素が重なり、このタイミングでの実施に大きな価値が生まれました。

夜のスケートボードパークという新しい試み
今回のプロジェクトの重要なポイントが、通常17時に閉まる屋外アーバンスポーツパークを21時まで夜間開放したことです。
「夜に開いているスケートボードパークはあまりない。この期間限定ではありますが、21時までのナイトタイムに思う存分スケートボードが楽しめ、さらにはこれまで体感したことのないプロジェクションマッピングの演出で盛り上げることが、PR効果をより拡大させると考えています」と関係者は説明します。
プロジェクションマッピングによるナイトタイムの演出は、インバウンド観光客をはじめとする、スケートボード愛好家以外の集客も見据えています。「外国人観光客の皆さんにも、夜の幻想的でエネルギッシュなプロジェクションマッピングイベントは新鮮に映ったのではないでしょうか。日本語がわからなくても直感的に楽しめるビジュアルコンテンツの価値は大きいと思います。また会社帰りの方や地元の方など、これまでこの施設に馴染みがなかった方々にも、プロジェクションマッピングの効果で競技の魅力を訴求できると考えています」。
施設と競技、そしてプロジェクションマッピングのコラボレーションにより、夜ならではの魅力的な時間と空間が生まれました。


ハワイのアーティストと創る、動く波の演出
今回のプロジェクションマッピングでは、ハワイの4人のアーティストの作品を映像化しました。
「作品の原型を保ちながら、プロジェクションマッピングのコンテンツとして成り立たせる。アーティストそれぞれトーンの違いを活かしながら、ハワイの情景や街の活気を感じてもらうことにも気を配りました」と、制作担当者は振り返りました。
ハワイでウォールアートによる街づくりを手がけてきたアーティストたちの静止画を、プロジェクションマッピング用に再構築するにあたっては「壁に描く」「光で投影する」という表現手法は違えども、親和性は高かったといいます。
最も技術的にチャレンジングだったのは、スケートボードの動きに連動した波の表現です。
「スケートボードが動くと、連動して足元の波の映像も動くような仕組みにしているのですが、スピード感を表現したり、早く滑ることで波が綺麗に見えるようにしたりというところは、かなり苦労しました。ちょっとでもずれると、波っぽく見えなくなってしまうので」。
前日まで雨が降り続く中、スタッフは実際に滑走しながら映像の調整を繰り返しました。プログラマーを含むチーム全体でこだわり抜いた結果、スケーターの技と光が融合し、まるでハワイの大波に乗るサーフィンのような躍動感のあるシーンが生まれました。

助成金活用と施設のニーズがマッチした好例
今回のプロジェクトは、東京都のプロジェクションマッピング促進支援事業の助成金を活用しつつ、主催者側の資金も組み合わせて実施されました。
「助成金ありきで企画がスタートしたわけではなく、駅から少し距離のある新しい施設をどう訴求していくかという課題の解決意識がベース。その取り組みを進める中で、今回の助成金のタイミングがマッチし、この課題とプロジェクションマッピングという魅力的な施策が繋がったのはありがたかったです」と、施設関係者は強調します。
施設を中心とした地域の賑わい創出を目指す施設側と、東京の夜間観光の盛り上げにつながるプロジェクションマッピングがうまく結びついた好例といえます。
コミュニティと共に広がる、有機的な拡散
初日の10月27日、BE STAGEは、まるでハワイの海原を滑走するかのようにボードを楽しむスケーターたちと、その滑りに興味津々の観客で賑わいました。各種プレスリリースに加えて、開業から数ヶ月で形成されたスケートボードコミュニティへの告知を行いました。
「イベントを盛り上げるためにプロのスケーターを呼んだわけではなく、いつもここで滑っているスケーターが、今日は夜の時間も楽しめると知り、自然に集まって楽しんでいるんです。この様子をスマホで撮ってもらって拡散され、見た人が『明日以降やってみよう』という形でじわじわと人数が増えていくのが理想的ですね」と初日の手応えを掴んだ様子で語ってくれました。


プロジェクションマッピングで地域と文化を盛り上げる
スケートボードとアートがミックスされて発信されることで、この場所がもっと魅力的になる。このイベントは来年以降もグレードアップを図りながら続けていきたいと考えています。また逆に、ハワイでも同じようなイベントを企画して、逆に渋谷のカルチャーを持っていけると楽しみが広がりますね。カルチャーとカルチャーが融合しながら、姉妹都市関係も発展できれば最高です。最終的にはイベントという一過性のものではなく、常設の演出としてプロジェクションマッピングをスケートボーダーに楽しんでいただければと夢見ています。
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