先進事例紹介


CASE.03
動き出す浮世絵で、「アートと水辺の街」天王洲の夜をエモーショナルに彩る
葛飾北斎、歌川広重、喜多川歌麿、東洲斎写楽など、世界的に有名な浮世絵師による作品が最新の3DCGアニメーション技術を駆使した“動く立体映像”として表現され、作品の世界観に没入できることで話題の「体感型デジタルアートミュージアム『動き出す浮世絵展 TOKYO』」。その夜間連動企画として、展覧会会場がある東京・天王洲の運河沿いに佇む倉庫の壁面をスクリーンとした『天王洲・キャナルサイド プロジェクションマッピング HOKUSAI IMMERSIVE ART(北斎 イマーシブアート)』が2月21日から24日の4日間に渡って開催されました。 この企画を先導したのは、日本はもとより世界各国で地域の魅力をテーマとしたプロジェクションマッピングを実現してきた株式会社一旗。同社代表取締役・東山武明さんに、作品の魅力や地域活性化の方策としてのプロジェクションマッピングの活用法などについて、将来の構想までを見据えて語ってもらいました。
実施団体:株式会社一旗
エリア:東京都品川区 天王洲アイル第三水辺広場
実施時期:2025年2月

世界的な浮世絵ブームと地域活性化への熱意で天王洲を盛り上げる
水辺の景観を活かした個性的な建物や施設が建ち並び、フォトジェニックな街並みが形成されている東京・天王洲エリアは、2019年に「品川区景観計画における重点地区」に指定され、「アートと水辺の街」としての認知が進んでいます。しかしそのポテンシャルの高さを考えれば、子供から大人までのあらゆる世代、また日本人、外国人両方の観光客に対して、地域の魅力をもっと発信できる、チャンスの多いエリアです。 折しも天王洲地区では、『動き出す浮世絵展 TOKYO』が開催されており、またこの地区は2020年東京都プロジェクションマッピング活用地区に指定されています。世界的な浮世絵ブームによる関心の高さと、プロジェクションマッピングを積極的に活用して地域活性化を図る地元の協力体制という両軸の強みを活かし、「水の都・東京」を天王洲のナイトタイムの演出から促そうという意気込みでプロジェクトは始まりました。
ナイトタイムを演出するプロジェクションマッピングのメリット
インバウンドで賑わいを見せている日本ですが、実は多くの外国人観光客からはナイトタイムのイベントが少ないと思われているようです。そういった意味でも、家族みんなで楽しむことができ、日本語がわからない人でも直感的に楽しむことができるコンテンツであるプロジェクションマッピングの需要は、これからさらに高まると考えています。
加えてプロジェクションマッピングは、短いコンテンツを何度も流すことが可能なので、会場への集客を時間的に分散させることができます。これは、クライマックスに観客が集中する花火大会などのナイトイベントと比較して、安全対策や周辺の飲食・物販などの安定的な売り上げを考えた場合のメリットにもなります。
実際にこれまで地方の観光地で手がけた案件では、国内外から10数万人規模での来場があり、また周辺の飲食店街も賑わうなど、大きな経済効果をもたらしました。
こうしたことから今回の天王洲での実施についても、東京の浮世絵を用いたストーリー性のある立体映像の魅力や、昼間の『動き出す浮世絵展 TOKYO』との相乗効果で、ナイトタイムへの誘客が大いに見込めるイベントになると、期待が高まっていました。


お馴染みの「赤富士」を上空から眺める演出も
今回のプロジェクションマッピングでは、『動き出す浮世絵展 TOKYO』でも使用している葛飾北斎の「冨嶽三十六景」などの浮世絵をモチーフにしたデジタルアニメーションを投影しています。世界中の浮世絵ファンにお馴染みの朝日に彩られた「赤富士」を、上空から、まるでドローンで実際に撮影したかの如く視点を動かした映像で表現しました。そのほかにも、「神奈川沖浪裏」の波のダイナミックなうねり、江戸の人々の暮らしなどを、動きのある立体映像に仕立てています。
これらの映像を、天王洲運河の両岸の建物や、運河上に浮かぶ船上スペース(T-LOTUS M)の帆に映し出し、江戸の水辺の風景を鮮やかに再現しました。
また初日の2月21日と22日には、赤外線カメラで太鼓奏者のバチの動きを検出・高速追従し、リアルタイムで映像演出を行うプログラムも実施しています。


地元のキープレーヤーとタッグを組み、準備は円滑に進む
天王洲エリアは「東京都プロジェクションマッピング活用地区」に指定されているだけあって、会場の雰囲気、投影する建物などのプロジェクションマッピングを行うための好条件が整っていたため、とても実施がしやすい環境でした。
また通常の準備では、自治体への申請、行政や警察との調整といった事務手続きが多いのですが、「アートと水辺の街 天王洲」の魅力づくりに力を入れている一般社団法人天王洲・キャナルサイド活性化協会に全面的にご協力いただいたことで、とてもスムーズに進めることができました。やはり地元のキープレーヤーとタッグを組むことが非常に効果的であるということを実感しました。
実施に際して苦労した点を強いて挙げるとすれば、投影する機器を設置しているのが運河上に浮かぶ船上スペース(T-LOTUS M)で、水位が毎日変化するため、映像の微調整をしなければいけなかったという点でした。




プロジェクションマッピングで地域の活性化に貢献
プロジェクションマッピングをはじめとするデジタルコンテンツを創造するプロフェッショナルとして、より多くの方々に魅力を提供するための「表現の間口」を広げていきたいと考えています。今回実施した屋外型のプロジェクションマッピングに加えて、『動き出す浮世絵展TOKYO』のような屋内で行うイマーシブアートミュージアムのスタイルは、世界的にも需要が高まっている手法です。 また、演劇やダンスのようなパフォーマンスや、花火といったリアルなイベントなどとの融合を図ることも注目されています。 様々なイベントとの組み合わせで地域への集客や周遊を促し、ナイトタイム観光を盛り上げ宿泊施設や飲食店を利用いただくことで地域への経済効果を生み出し、今後もプロジェクションマッピングで地域の活性化に貢献していきたいです。

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